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クロムレイリー 1st Full Album『Day By Day』オフィシャルインタビュー

2026.08.04

沖縄発のスリーピースバンド、クロムレイリーの1stフルアルバム『Day By Day』がついに完成。8月5日のリリースに先駆けて、7月28日には昨年のツアーからサポートとして参加していたドラムの“ゆか”の正式加入が発表された。

ももか:

今年の2月にレコーディングで東京に集まったときに、急に「クロムレイリーに入ります!」って“ゆか”から言われて、自分と“りの”は最初はすごくびっくりしたんですけど、嬉しい気持ちでいっぱいでした。以前から「メンバーになる?」みたいな感じでちょっかいかけてたんですけど、それまでは「まだ私は…」みたいな感じだったんですよ。

ゆか:

日常のふとしたきっかけだったと思います。ツアーを一緒に回って、居心地の良さを感じて、“ももか”と“りの”と一緒に音楽をやっていく未来がすごく素敵に思えたし、「入らない?」とは言ってもらっていたので、そんな楽しい未来が待ってるなら、それをやらない理由はないよな、とは思ってたんです。ただそれを決断するというか、自分の中で落とし込んで、「よし、クロムレイリーを頑張っていこう」と思うきっかけが欲しかったんだと思う。それが突然だったんですけど、2人と一緒にいて、楽しくて、「これがずっと続いたらいいのに…あ、じゃあ入ればいいのか」っていう(笑)、そういうちょっとした切り替えだった気がします。

クロムレイリーと、“りの”とゆか”がそれぞれ高校生の頃からやっていた3バンドのグループLINEがあったように、3人は数年来の交流があり、“ももか”は「一緒に頑張ってきた仲間」と話す。

りの:

高校のときはバンド同士では関わりがあるけど、“ゆか”と私の2人での関わりはほぼゼロに近いぐらいで、高校3年間はずっと「ゆかさん」呼びでした(笑)。お姉さんな、大人のイメージがあったし、私がめちゃくちゃ内気なので、自分から喋りかけることができなくて。でもクロムレイリーとして“ゆか”と関わるようになってからは、全然近寄り難い感じじゃなくて、めっちゃフレンドリーだし、明るいし、一緒にふざけられる存在になったんです。

ゆか:

確かに、当時の“りの”はハードルが高いというか、バリアが何層かあるようなイメージで、「これは攻略するのに時間がかかりそう」と思ってたんですけど(笑)、でもクロムレイリーを一緒にやるようになったら、打ち解けるのは一瞬だったような気がします。今はもう家族と同じぐらい、一緒にいて安心できるというか、信頼がでかいですね。包み込むような安心感もありつつ、すごく決断力があって、めちゃめちゃ肝が据わってるのがかっこいいなと思うし、そういうところはすごく尊敬してます。

ももか:

“ゆか”は初めて喋った人にも「すごく素敵な人だな」っていう印象を持たせる人だと思います。明るくて、朗らかで、みんなが大好きになっちゃうような存在。「“ゆか”がいてくれたら安心するよね」みたいな雰囲気を出してくれる人だし、みんなのペースを整えてくれる人。自分は瞬発的にエネルギーがバッって出ちゃうタイプなんですけど、そういうときも後ろからサポートしてくれてる感覚があります。ドラマーとしても完璧で、周りを見てドラムを叩くというか、歩調を合わせてくれる感じがあって、それは他のドラマーにはない“ゆか”の特技だなと思います。

ゆか:

クロムレイリーを一緒にやるようになって、高校のとき以上に“ももか”と親密に関わるようになって、“ももか”の弱い部分も、おちゃめで可愛い部分もいろいろ知って…歌詞みたいになっちゃうんですけど、本当に太陽みたいな人だなって(笑)。みんなのことを照らしながら、引っ張ってくれるような存在で、私自身も弱いところを見せられるし、“ももか”もいろんなことを話してくれるので、“りの”と同じように、絶大な信頼を置いてるし、とても安心できる存在です。本当にみんなに愛される人で、私もその魅力に惹かれた一人なので…相思相愛だと思っています(笑)。

“ゆか”の加入発表に続いて、7月29日にはアルバムから「風」を先行配信。10代の恋心を日常風景とともに描き、ディスコティックなベースラインと軽快なビート、風が吹くようなコーラスが胸の高鳴りを伝えている。

ももか:

「風」は高校3年生の9月頃に出来上がった曲です。9月は夏の名残惜しさを感じるというか、「夏って楽しいよな」っていうのをより感じる時期だと思うので、その季節ごと楽しい思い出になっちゃう。「自分はあのときこういうことを伝えたかったんだろうな」って、後からわかったりもすると思うんです。作ったときはその中にいるからわからないけど、作った後に見返してみると、「あの夏すごい楽しかったんだな」っていうのがわかる。そういう夏の楽しさを感じられる曲だと思います。

りの:

歌詞を見て、明るめで、ちょっとテンポが速い感じの曲のイメージかなと思いながら作ったりしてたので、“ももか”も言った通り、やっぱり夏のイメージが自分の中でも強いですね。「楽しい」と「夏」がわかる曲だと思います。

ゆか:

個人的にはアルバムの中でちょっとテイストが違う曲というか、少し別の角度からのクロムレイリーな気がしていて、爽やかなキラキラ高校時代を思い浮かべながら演奏していて。それぞれの青春の記憶があって、その思い出を私自身も振り返りながら叩いているので、夏にぴったりだし、夏を振り返る曲としてもすごく素敵な曲だと思います。

ももか:

高校生の登下校の道がすごく好きだったんです。私と“りの”が通っていた首里高校は勾配がすごいので、「坂道きつい」って歩いてたら、好きな人が横からサーって通って、「うわー!」みたいな(笑)、夏はそういう楽しい記憶が全部詰まった時期だったんですよね。学校からずっとお世話になってるライブハウスに向かう途中で、「うわー!」っていう出来事があったテンションそのままに作ったのが「風」ですね。

1stフルアルバム『Day By Day』は先行で配信された「陽だまり」や「風」を含む全12曲を収録。高校生のときに作った曲から、昨年のツアーを経て、最近作った新しい曲まで、2022年に結成されたクロムレイリーにとって、最初の集大成となる作品になった。

ももか:

今回アルバムに入れた曲は自分が等身大で書いた曲がほとんどで、曲の中の気持ちに嘘が1個もないんです。それをメンバーと一緒にライブを通して伝えてきたので、自分の子供たちが入ったアルバムというか、より一層「今の自分たちを見てくれ!」みたいな気持ちが入ったアルバムになってるんじゃないかなと思います。

りの:

曲は“ももか”が書いてくれているので、“ももか”が思っていることをこのバンドとして曲にして、ライブでやると楽しい曲しかないので、アルバムという形でいろんな人に聴いてほしいなと思います。

ゆか:

制作期間中の思い出がすごく詰まってるアルバムだなと思います。沖縄に戻って、3人で楽曲を作って、レコーディングして、その一連の流れの中の、スタジオでのちょっとした出来事とかの思い出が、曲それぞれにいっぱいあって。もちろん曲としてもすごく素敵な部分がたくさんあって、自分自身にも刺さるというか、叩きながら口ずさんでたら泣いてしまうような、私自身にもパワーをくれる曲がいっぱい詰まっていて、思い出深いアルバムになりました。

現在“ももか”は沖縄、“りの”が大阪、“ゆか”は東京と、生活の拠点は3人バラバラ。ライブの合間に沖縄で曲作りをして、東京でレコーディングを行い、それぞれの力を結集させて、渾身の12曲を完成させた。

ももか:

曲作りは結構やばかったよね。アルバムのために作った曲が6曲くらいあったんですけど、それを一週間とちょっとでバンド全員で完成させるっていう鬼スケジュールで(笑)。沖縄に2人が帰省するタイミングでガッと詰め込んで作ったんですけど、もともとできてる曲にもちょっと編曲を加えてみたり、そういう試行錯誤の連続で、いっぱい頭を使った期間でした。

ゆか:

バンドごとに曲の作り方はいろいろな方法があると思うんですけど、クロムレイリーは3人でその場に集まって、リアルに作っていくのが一番向いてるのかなって。いろんなことに頭を働かせながら、魂を込めて作った曲たちですね。

りの:

制作期間は一日中ずっとスタジオにいて、曲を作ることに集中してたので、頭を常に働かせながら、聴きながら、考えながら、ベースを弾いたので、もうめちゃくちゃエネルギー爆発みたいな(笑)、自分が今できる全てを全部出し切った感じでした。レコーディングに関しては、すでに完成した曲があって、あとはそれを自分のできる最大限で楽器を使って表現するだけだったので、めちゃくちゃ楽しかったです。

ももか:

スタジオにこもってる期間はみんなスーパーサイヤ人なんじゃないかってぐらい、ギュッと凝集された濃い時間でした(笑)。

アルバムタイトルの『Day By Day』は“ももか”が命名。朝から夜へと流れる時間、学校やライブハウスや自分の部屋といった様々な場所、クロムレイリーとして過ごした1日1日の中で感じた等身大の想いを、多彩な曲調に昇華させている。

ももか:

一回別のタイトルを候補で出したんですけど、それを出した翌日ぐらいに、「いや、『Day By Day』だ」って、急にフレーズがパッと出てきて。日々を歌ってる曲が多くて、その中で学んだことや気づいたことを歌っているので、その生活を大切にしたい思いがあったんです。それで「すみません、昨日別のタイトルを言ったんですけど、『Day By Day』にしたいです」って連絡して、このタイトルになりました。歌ってることが広いからこそ、「日々の生活の中で感じたことが詰まってるアルバム」というのが伝わりやすいんじゃないかなって。


ジャケットには“ももか”が沖縄で撮った朝方の写真を使用。「始まり」の感覚が強く伝わってくる。 

ももか:

これは朝方に車から降りたときに撮った写真なんですけど、切り抜かれてる部分がよく見たら「DBD」になってるんです。あと周りが赤のグラデーションなんですけど、「DBD」っていう文字の切り抜きから見える景色が自分の生活で、その生活の中にはグラデーションでいろんな感情が混ざってる。自分はそういう風に解釈していて、お気に入りのデザインです。


アルバムの1曲目は“りの”のベースと“ゆか”のドラムによる推進力のあるイントロから始まる「tour」。〈日が昇った 私たちの知らない街に〉という歌い出しが『Day By Day』というテーマとリンクし、〈あなたの音で歌うこの瞬間を 私は幸せだと叫ぶよ〉という歌詞からは、昨年のツアーで培われた現在の3人の絆が伝わってくる。 

ももか:

「tour」は去年のツアーの最終日、高速の休憩エリアで休んでるときに、自分だけ先に目が覚めて、そのときにふとできた曲で。あのツアーを通して、人間には大切にしたいものがたくさんあるけど、まずは身近なものから、自分の周りから、仲間から大切にしていこうっていうのを強く思えた期間だったので…これはメンバーへのラブレターです。

ゆか:

イントロがめっちゃ大好きで。ツアーはキャンピングカーで移動してたんですけど、車のエンジン音とか、窓から見える動いてる街並みとかを連想させるような曲で、納得の1曲目ですね。

りの:

このイントロだけで、そのときの景色がもう浮かぶし、「始まるぞ」みたいな感じもあって、アルバムの1曲目にめちゃめちゃバッチリだと思いました。

アルバム前半には「陽だまり」や「風」のようなアップテンポのナンバーが続き、〈すてきなおんがくさ!きみの曲は誰かを救っているんだね〉と、こちらも仲間たちへの想いを綴ったようなショートチューン「バンドマン」もユニークだ。

ゆか:

「陽だまり」はドラムから入るところもお気に入りではあるんですけど、私の解釈の中で、この曲にぴったりな人物がいて。クロムレイリーの活動の中で出会った方なんですけど、別解釈のMVのような感じで、歌詞を聴きながらその方の映像が思い浮かぶんですよね。“ももか”の書く等身大って、優しい言葉ではあるんですけど、心にまっすぐ来るような、刺さって離れないような、素敵な言葉たちがいっぱいあって。目が潤みながらライブをしたことが何度もあるし、感情的だけど優しくて、お守りのような曲です。私自身もクロムレイリーの曲にすごく助けられてますし、みなさんそれぞれ家族だったり友人だったり恋人だったり、誰かを想像しながら聴いてもらえると、より味わい深い曲になるんじゃないかなと思ってます。

アルバムの中盤にはストリングスやオルガンを用いてアレンジされたミドルテンポの楽曲やバラードが並び、クロムレイリーの表現の幅広さを印象付ける。艶やかなエレピを用い、シティポップ風の曲調で“りの”がベースソロを聴かせる「movie」もいいし、アコギとピアノと共に“ももか”が情感たっぷりに歌う「愛してしまう」は、同じ沖縄出身のHYにも通じるような、普遍的なスタンダードナンバーだ。

りの:

「movie」はこのグルーヴがめっちゃ好きで。自分でベースを弾きながら、「うわ、ここめっちゃいい!」と思う部分が一番多いのが「movie」なんです。

ももか:

「movie」みたいな曲はライブでやってても楽しいですし、「うわー!」というより「ふー!」って盛り上がるような曲があると、会場を一つにしてくれるので、こういう雰囲気の曲も大切にしたいです。自分は好きな曲のジャンルがいろいろあって、弾き語りも聴くし、バンドも聴くし、それ以外の面白い音楽もたくさん聴くので、これからもいろんなタイプの曲を作ってみたいですね。

アコギを用いた序盤から徐々に盛り上がっていく「あなたが居ないと」からのアルバム後半は再びアップテンポのナンバーを並べ、「ひとりの夜」に続く「ひと」は“ももか”が18歳のときに書いたという一曲。高校生でバンドを始め、今年20歳になる3人にとって、10代のリアルな想いを刻む曲の存在はとても大きいと言えるだろう。

ももか:

18歳になって、進路とかいろんなことで悩んでる時期って、「自分とは何なのか?」を問う時期だと思うんですけど、「ひと」はそういう18歳の葛藤を書いた曲です。〈A hollow only I can feel〉を私語で訳すと、「私だけにしかわからない孤独」っていう意味を込めていて。みんなそれぞれ葛藤してる中で、私も周りの同級生の子たちの孤独がわからないし、その子たちは私の孤独がわからない。そういう中で、どういう曲を作れるだろうと考えたときに、自分を鼓舞する曲を作りたいなって。受験期はみんなトゲトゲし始めるんですけど、でもあの時期はあれでいいんです。そのまま突き進んでいけば、いつか目標を達成できると信じてたので、そのトゲトゲを丸めることじゃなくて、トゲトゲのまま突き進むことを最終目的として、「ひと」を作りました。

ラストに置かれたのは、アルバムの中でも最も新しい曲の部類に入るという「太陽」。『Day By Day』には“ももか”が10代の日々の中で、大切な存在との出会いや別れを通じて感じた、「本当の強さとは?」、「本当の優しさとは?」という問いに対する答えが散りばめられているが、「太陽」で繰り返される〈あなたのせいじゃないよ〉はとても優しく、〈譲れぬ過去、捨てたい夜も あなたを作る誇らしい太陽〉というラストのフレーズはとても強く、「今を精一杯輝かせる」というメッセージが伝わってくる。

ももか:

「太陽」は自分が一人でいっぱいいっぱいになって、夜も眠れないぐらいにしんどくなってたときに作りました。自分にはいつも2人の自分がいて、1人は感情に溺れる自分、もう1人が前向きにどうにか考えようとする自分で。1人目の自分がクテンってダメになったときに、もう1人がいつも励ましてくれるんですけど、そのときのもう1人の方の曲です。ダメダメなときって、今はもう全部がダメなんだって思うけど、そういう瞬間こそ、この先の素敵な自分を作る糧になってたりする。なので、もともとは自分に対しての曲なんですけど、「今すごいしんどくて落ち込んでるよね。でもそのままで大丈夫だよ。これがきっとこの先の糧になるからね」っていうのを伝えたくて作りました。

ゆか:

この曲を聴いたそれぞれが思い浮かべる情景があって、それぞれに苦しかった思い出があると思うんですけど、でも“ももか”も言ってた通り、それが糧になっていてほしいし、また苦しい場面に直面したときに、この曲を聴いて希望を持ってくれたら、頑張る活力にしてくれたらいいなって、個人的には応援ソング的なイメージがありますね。


等身大の3人を詰め込んだアルバムを完成させて、8月11日には地元の沖縄ONE COLORからライブハウスツアーがスタート。新生クロムレイリーとしての新たな日々が、またここから始まっていく。 

ゆか:

正式に加入して、「クロムレイリーです」っていう気持ちでステージに立てるので、まずそれが楽しみなのと、前回のツアーでもそうなんですけど、始まる前と終わった後では本当に全然違うんですよね。各地で出会ったバンドマンといろんなお話もできて、いろいろな面でたくさん吸収できたので、自分をレベルアップさせるという意味でも、バンドとしてレベルアップしていくっていう意味でも、この先の変化がまた楽しみなので、早く始まってほしいです。

りの:

自分も正式加入を発表したのが前回のツアーのファイナルだったので、この 3人でクロムレイリーとしてツアーを始められるのがとても嬉しいです。前回のツアーは楽しいことしかなかったというか、いろんなアーティストさんのライブを見て自分が刺激を受けるのもそうですし、いろんな人と関わることでいい影響を受けたし、それがクロムレイリーとしての成長にもつながると思います。いろんな地域の人に今のクロムレイリーを届けられる機会があるのはめちゃくちゃ嬉しいですね。

ももか:

2人が入ってくれて心強いし、早く「クロムレイリーです」って言って、お披露目したい気持ちです。ツアーはバンドとしてもそうなんですけど、人としてたくさん成長できる機会だなと前回のツアーで思って。メンバーと一緒に生活して、人と出会って、そこからいろんなことを吸収して、自分たちが成長したのを感じることができたので、今回もそれができると思うとすごいワクワクで楽しみです。あと前回は体調を崩しちゃったので、体調を崩しさえしなければ、きっと前回の100倍楽しいと思います(笑)。

インタビュー・文:金子厚武