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クロムレイリー「陽だまり」オフィシャルインタビュー

2026.04.28

作詞作曲も担当するボーカル/ギターの”ももか”、ベースの”りの”、現在19歳の2人による沖縄出身のロックバンド、クロムレイリー。2022年6月、沖縄県立首里高校の1年生だったももかを中心に、クラスメイトで軽音部でも一緒だった元メンバーと3ピースバンドとして結成。りのも同じ軽音部に所属し、別のバンドで活動をしながらももかと友人関係を築いてきた。バンド名は、ももかが響きやニュアンスを気に入っていた「レイリー」に、理系の元メンバーが好きな数字「24」に由来する元素記号の「Cr=クロム」をくっつけて、クロムレイリーに決定した。

ももか

両親が音楽好きだったのもあって、小さい頃から音楽はずっと身近にあったものなんですけど、中学校ぐらいから自分でバンドを聴き始めるようになって。それと同じタイミングでコロナ禍に入って、弾き語りの、SNSのインフルエンサーの方が増えて、自分で曲を作って歌ってる人がいるのを知って。それまではずっとバスケットボールをやってたんですけど、一気に音楽に心を奪われて、自分でも曲を作りたい、バンドをやってみたいと思ったんです。それで軽音が盛んな高校を調べて、首里高校に入りました。バンドにハマるきっかけになったのは、マカロニえんぴつさん。ライブ映像がYouTubeのおすすめに流れてきて、お客さんが自分と曲を重ねて聴いてることにすごく感動して。音楽は自由だし、みんなをいろんな形で幸せにしてることを知りました。高校に入ってからはチャットモンチーさんに憧れて、あんな風にギターをかき鳴らしながら自分で歌えるなんて、そんなかっこいいことはないなと思ったんです。

りの:

私は小一から高三までずっとピアノをしてて、中学も部活で吹奏楽をやってたので、高校でも何かしら音楽ができる部活に入りたいなと思ってたときに、体育館の部活動紹介で軽音部の動画が流れて、先輩たちがライブハウスで演奏してる姿を大きいスクリーンで見て、めっちゃかっこいいなと思って。それで中学の友達と一緒に体験に行って、そのまま軽音部に入って、バンドを組みました。楽器はギターかベースでずっと迷ってたんですけど、一緒にバンドを組むことになった子がギターだったので、ベースになりました(笑)。私は気分屋なので、好きなアーティストさんを聞かれたときに、時期によって答えが変わっちゃうんですけど、サカナクションさんはいつも「めっちゃいいな」と思いながら聴いてます。最近だと藤井 風さんもめちゃめちゃ好きですね。

ももか:

沖縄のバンドで言うと、MONGOL800さんにはすごく影響を受けてます。「あなたに」の〈人にやさしくされた時 自分の小ささを知りました〉っていう歌詞にすごくびっくりして、やっぱり歌詞は大事なんだなっていうのはずっと思っていて。残っていく音楽って、歌詞がいいとか、メロディーが心に寄り添うとか、そういう自然発生的なものだと思うので、MONGOL800さんの歌詞はどの曲を聴いてもすごいと思いますね。

高校時代は全国高校生アマチュアバンド選手権「TEENS ROCK」を目標に活動し、高校3年生になった2024年に見事グランプリを獲得。首里にある児童館で学童ボランティアなどに参加しながら活動を続け、地域のサポートが快挙につながった。

ももか:

二個上の先輩でヒカリバンドっていうバンドがいたんですけど、そのバンドが児童館で音楽スタジオを無料で貸し出ししてることを教えてくれて。首里高校生だけじゃなく、那覇市内の高校の子はみんな児童館を使っていて、環境がすごく整ってるので、伸び伸びと練習させてもらってました。その児童館では無料塾っていう授業があって、高校生がボランティアで小学生に勉強を教えるんですけど、それに参加した子にスタジオを無料で貸し出しするシステムだったので、無料塾をやって、練習してっていう、いつもそういうルーティンの中で活動してて。あとはプロのドラマーさんを招いてドラムを教えたり、作曲について教えたり、そういうワークショップが2ヶ月に一回ぐらいのペースで開催されてたので、そこでいっぱい勉強もしました。

りの:

クロムレイリーと私のバンドと、2組が首里高校の代表として出る軽音の大会があって、その大会のときもずっと児童館で練習させてもらって。お互いの練習を見ながらアドバイスをしたりしてたんですけど、スタジオの下の畳間みたいなスペースで、お互いのバンドの曲の歌詞をめちゃくちゃ語り合ったことがあって。みんな大号泣しながら、歌詞に対する想いだったり、大会に向けての想いだったりをたくさん話して、仲を深め合ったことはすごく印象に残ってます。

ももか:

グランプリを獲ったら、みんな周りの方に感謝するじゃないですか。「みなさんのおかげです」みたいな。先輩方を見ながら、あれ絶対嘘だと思ってたんですけど(笑)、いざ自分が受賞する立場になったら、自分の力だけでこんな大きい賞をもらったわけではなくて、自分たちを育ててくれた、周りの環境も全部含めての優勝だと本当に思って。嬉しいと同時に、感謝の気持ちが自然に出てきました。

〈人にやさしくされた時 自分の小ささを知りました〉を文字通りに実感しながら、「TEENS ROCK」の優勝バンドとして、その年の夏には日本最大級のロックフェスである「ROCK IN JAPAN 2024 in HITACHINAKA」に出場。誰もが憧れる野外の大きなステージでも、臆することなくライブを披露した。

ももか:

「TEENS ROCK」から「ROCK IN JAPAN」まで一ヶ月ぐらい間があって、実感が湧かない状態のまま練習だけは一生懸命やって、ステージに挑んだんですけど、りのも見に来てくれたり、最前にはいつも支えてくれた方たちがいたので、楽しくできました。りののバンドと一緒に資金造成のイベントをやって、自分たちでお金を集めて、飛行機に乗って、ひたちなかに行ったんです。なので、ステージに立ったときも「自分たちだけじゃない」っていう思いがあって、支えられてる感覚があったので、楽しくできたのは本当にみんなの力が大きかったです。

高校卒業を機に前のベースとドラムはそれぞれの将来の夢を叶えるため脱退したが、ももかは音楽で生きていくことを決め、一時期はアコースティックでライブを続行。このタイミングでりのと、現在サポートを務めるドラムのゆかを誘い、2025年5月から新体制での活動を開始する。りのとゆかは進学をして、現在はそれぞれ大阪と東京に住んでいるが、ももかにとっては2人の存在が重要だった。

ももか:

前のメンバーは抜けてしまったけど、自分のことを一番身近でずっと見てくれてたのがりのだったので、ベースはりのしかいないなと思って。急に電話をかけて、「入ってください」って。

りの:

お買い物中に電話がかかってきて(笑)、「なんだろう?」と思ったら急にバンドに誘われて。「私でいいんですか?」っていう気持ちもちょっとはあったんですけど、「私でいいならぜひ!」っていう感じで、すぐにオッケーしました。

ももか:

ゆかは高校は違ったんですけど、グループラインがあって、りのとゆかのバンドも含めた3バンドで仲良く交流をしていて。ゆかは前から「チャットモンチーの高橋久美子さんに叩き方が似てるね」みたいな話をしてたんですよ。だから前のメンバーが抜けて、サポートを誰にお願いしようってなったときは、もう必然的にりのとゆかの顔が浮かびました。

2025年の7月からは15都市を回る初の全国ツアー「NEW CHROMATIC TOUR 2025」を開催。大きなチャレンジとなったが、ここでも周りからのサポートを受けながらツアーを完走。地元・沖縄のミュージックタウン音市場でのツアーファイナルでりのの正式加入が発表され、現在のクロムレイリーが誕生した。

ももか:10日間11公演をキャンピングカーで回りながらツアーをして、自分が初日に体調を崩しちゃったんですけど、本当にりのとゆかと、一緒に来てくれてる方の支えがあって、全部やり遂げることができました。りのの正式加入はツアーが始まる頃にはもう決まってたんですけど、ファイナルで発表できたのは本当に嬉しかったです。

こうして晴れてバンドメンバーになったももかとりの。高校時代からそれぞれの活動を見つめ続けた2人はお互いのことをよく理解していて、りのはももかについて「感受性豊か」、ももかはりのについて「強さがある」と話してくれた。

りの:

ももかはめちゃくちゃ感受性が豊かな子なので、それが曲にも出てると思います。「この人はどういう人なんだろう?」っていうのをよく見ていて、めちゃくちゃ気が使えるし、人の気持ちを考えられる人。それは一緒に過ごしてても感じるし、喋っててもそう思いますね。

ももか:

最初はみんなりののことをフワフワしてて、ちょっと内気な性格だと思うけど、仲良くなってみると、実はしっかりしてる部分を強く持ってて、今はすごくかっこいいなと思うし、リスペクトしてます。「私が楽しいと思うからやる」みたいな、判断基準をしっかり持っていて、フッ軽な感じだけど、強さがある。ちゃんと強さがある人って、適切な優しさを人にあげられる人なので、すごく優しいんですよね。だから周りのこともよく見てて、その中で自分がどう行動すべきかを無意識に考えてる子なので、フランクで接しやすいし、すごく魅力的な人だと思います。

初めて配信リリースした「レイリー」を皮切りに、2025年は6曲を配信で発表。10月にリリースされたアップテンポの「ひとりの夜」と、12月にリリースされたバラードの「Always」は現在の体制で録音されていて、ライブでもよく演奏されている。

ももか:

クロムレイリーの曲はその時々の等身大で、嘘がない、素直な曲だなって思ってます。今自分たちができる遊び心でチャレンジしてみることもあるんですけど、自分たちがそのときに思ったことを毎回試していくっていう感じかな。

りの:私がバンドで演奏してるときに思うのは、自分たちが一番に楽しんで、それがお客さんにも伝わってたらいいな、ということで。もちろんももかのメロディーや歌詞も届けるんですけど、それプラス「楽しい」を一緒に届けられるバンドでありたいです。

ももか:曲はまず弾き語りで作って、それを2人に投げるんですけど、「コードをこういう風にしたいんだけど、どう思う?」とか聞くと、りのから「コードこっちの方がいいんじゃない?」みたいな、自分からは出てこない発想が出てきたり、ゆかもいろんなアイデアをくれるので、すごくいいバランスだと思うし、楽しくやってます。歌詞に関しては、日常生活のちょっとした出来事で、自分が思ったことをノートに書くようにしていて。口にするときに感情ベースで話すと、トラブルが多くなっちゃうじゃないですか。そういうのをできるだけ避けたいから、考えてることをまずノートに書くようにしてるんです。心を整理するノート、みたいな感じ。それの延長線で、「この気持ちは残しておきたいな」と思ったら、それをメロディーに乗せてみる感じですね。

4月29日に配信リリースされた「陽だまり」は、クロムレイリーの新たな始まりを体現する一曲。ギター、ベース、ドラムのアンサンブルは疾走感があり、ももかの凛としたボーカルに、りののコーラスが自在に絡み合う、躍動感たっぷりの仕上がりだ。

ももか:「陽だまり」は去年の9月に東京でイベントがあって、スタジオに入って曲を作ろうってなったときに、このリズムがみんな楽しくて、「10月のツアーファイナルでやっちゃおう」みたいなノリになって。時間はあんまりなかったんですけど、一生懸命作ったよね。

りの:

でも意外とすんなりできた記憶がある。私はいつも「楽しい」が先行して作っちゃうから、勢い任せというわけじゃないけど、自分の感情も乗せながら、ももかの歌詞や歌に合うベースはこれだ!みたいな感じでバーって作った記憶があります。

ももか:

コーラスに関しては基本的にりのに任せてて。りのはもともとピアノをやってたこともあって、ハモリが上手いんですよね。

りの:

曲を作ってるときに、聴きながら歌いたくなっちゃう(笑)。前のバンドでもずっとハモってましたね。ハモるのがもともと好きで、知らない曲でもサビとかハモっちゃう人なので(笑)、今回も楽しくやらせてもらいました。

「その時々の等身大が歌詞に表れている」というももかだが、「陽だまり」の歌詞から感じられるのは、自分の周りにいる大切な存在。「冷笑」がトレンドワードになってしまう現代において、等身大の自分を表現することは決して簡単ではないが、クロムレイリーはこれまで沖縄で様々な人に支えられ、だからこそ、自由に、楽しく、活動を続けることができた。〈陽だまりのように幼く笑うきみが いつも僕を強くしてくれたね〉〈きみだってもっと弱くたっていいんだよ?〉と歌う「陽だまり」は、家族や友人、バンド活動を支えた児童館も含め、これまで自分を形成してきたたくさんの大切な存在への想いが詰まった曲であり(その中には、バンドメンバーになったりのへの想いも含まれているだろう)、本当の「強さ」についての歌であるように思う。

ももか:

「陽だまり」は自分がすごく愛してるものとか、人とか、空間について歌っていて、それはただ自分が愛してるだけじゃなくて、その環境に自分が支えられたりもするし、お互いがお互いを必要としてたり、そういうものに美しさを感じて作った曲です。みんな一人では生きてなくて、誰かに支えられていて、自分ももしかしたら相手のことを支えられてるかもしれない。そういう日常生活における人と人の美しさを書いたイメージですね。確かに今の世の中は自分のことを出すのがすごく難しくなってきてると思うんですけど、その中で必要になってくるのが本当の意味での強さで、弱い部分もちゃんと認めてあげられる強さが必要だと思う。そんなことをずっと考えながら曲を作ってるので、そういう部分も感じてもらえたらすごく嬉しいです。

ももかとりのにとって、2026年は10代ラストイヤー。〈ねぇ、レイリー 僕は今でも夢の続きを見ているのかな〉〈レイリーせめて覚えてて あの坂の上で見た光を〉。バンド名をタイトルに冠した「レイリー」で歌われているように、子供の頃の純粋な感情をギュッと抱きしめたまま、クロムレイリーは次のステージへと、また新たな坂道を駆け上がっていく。

りの:

私は目標らしい目標はあんまり持ってないというか、クロムレイリーに入るにしても何にしても、音楽に対しては「楽しい」を第一優先に突っ走ってきた人なので、これからも「楽しい」を届けられたら一番です。自分がステージに立つときはどんなお客さんでも絶対笑顔にしてやるぞっていう気持ちでライブをしてるので、自分たちの音楽がいろんな人に伝わって、いろんな人を笑顔にできるようなバンドになりたいです。

ももか:

自分もやっぱり楽しいことをずっとやっていきたいですね。それを続けていくためにも、自分たちの音楽がみんなに浸透して、みんなの生活を支える…というほど大きいことは言えないですけど、ちょっと困ったときに頼ってくれるような、そんな音楽がずっと作り続けられたらいいなと思ってます。もちろん、もっといろんな人の前で演奏したいっていう気持ちもありますし、みなさんが目標にするような、「日本武道館に立ってみたい」みたいな気持ちもあるんですけど、でもそういうことには囚われず、自分たちも、見てくれてる人も、ずっとワクワクするような活動ができたら幸せです。

インタビュー・文:金子厚武